大変な出産の時期を終え、無事に赤ちゃんが生まれてきてくれた安心と幸せでいっぱいなはずが、「何か腰のあたりがグラグラする……」と腰痛に悩んでいる方は非常に多いです
中には酷い腰痛で歩くことができなくなるという方もいらっしゃいます。妊娠中や妊娠前にはこのような痛みはなかったのに、急な痛みで不安になるという方も多いことでしょう。
産後の腰痛は、出産で開いた骨盤のゆるみ・歪みが原因である場合が多いのですが、出産前・出産後には身体にどのような変化が起こっているのでしょうか。
当記事では、骨盤が歪む原因や痛みを解消する対策方法について詳しく解説していきます。
産後の腰痛にお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。
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目次
産後によくある症状は?
出産によって身体の状態、特に骨盤周りが大きく変化するため、産後にはさまざまな不調があらわれることがあります。
産後の体に起きやすいと言われている症状は、主に以下の6つです。
①腰痛
②肩こり
③恥骨痛
④膝の痛み
⑤手首の痛み
⑥尿もれ
それでは、産後にあらわれる症状を1つずつ解説していきましょう。
産後の不調|①腰痛
産後に悩まされる症状の代表的な例が腰痛です。
妊娠中にお腹が大きくなることで腰に負担がかかり、骨盤や腰椎の位置が変化するのですが、出産後もこの影響が残って腰痛を引き起こすことがあります。
また、赤ちゃんを抱っこしたり授乳したりする際の姿勢が悪いと、さらに腰に負担がかかるため痛みが悪化してしまうでしょう。
産後の不調|②肩こり
赤ちゃんを抱っこしたり、授乳の姿勢を保つことは肩や首に大きな負担をかかります。
長時間にわたって同じ姿勢を保ち続ける必要があることも多いため、肩・首周りの筋肉がどうしても凝り固まりやすいです。
肩こりは頭痛との関連性も深いため、姿勢に気をつけたりマッサージやストレッチを行い、筋肉の緊張を和らげましょう。
産後の不調|③恥骨痛
妊娠中に骨盤が広がることで、骨盤を作る骨の1つである恥骨周辺に痛みが生じるケースも少なくありません。
さらに、出産時のいきみで恥骨に強い負荷がかかって炎症が起きることもあります。
この恥骨周辺の痛みは妊娠中〜産後も続くことがあり、歩いたり立ち上がったりする際に強い痛みを伴うでしょう。
産後の不調|④膝の痛み
産後の膝の痛みは、妊娠中に体重が増加し、膝に負担がかかることで引き起こされることが多いです。
また、出産後に赤ちゃんを抱っこする機会が増えることで、膝にかかる負荷はさらに大きくなりします。
膝周りの筋肉を強化するエクササイズやサポーターなどを取り入れて、膝への負担を軽減しましょう。
産後の不調|⑤手首の痛み
赤ちゃんを抱っこしたり、授乳やおむつ替えを頻繁に行うことで、手首に負担がかかり痛みが生じることがあります。
特に「ドケルバン病」(狭窄性腱鞘炎)と呼ばれる手首の腱が炎症を起こす症状は、産後に多く起こる問題です。
手首への負担を軽減するために、赤ちゃんを抱っこする際には腕全体を使って支えるようにしてください。
産後の不調|⑥尿もれ
出産によって骨盤底筋がゆるんだり、赤ちゃんが産道を通る時に骨盤底筋群が広がることで、尿もれの症状に悩まされる場合があります。
これは、くしゃみや笑った際に尿が漏れる「腹圧性尿失禁」としてあらわれることが多いです。
約40%の産後女性が尿もれを自覚していますが、ほとんどの場合、産後約6週間ほどで症状は徐々にゆる和されていくでしょう。
産後歩けないくらい骨盤が痛くなる原因は?
産後、「歩けないくらい腰が痛い……」という場合、骨盤にゆるみ・歪みが生じていることが原因として考えられます。
女性は妊娠や出産によって骨盤がゆるみますが、これは骨盤がお腹にいる赤ちゃんが外に出るための通り道となるからです。
骨盤は妊娠初期から出産までにゆっくりとゆるんでいきますが、出産後すぐに元に戻るわけではありません。戻るのにも同じように時間がかかるのです。
また、骨盤がゆるんだ状態のまま悪い姿勢で過ごしたり、妊娠で落ちてしまった筋肉をそのままにしておくと骨盤が元の状態に戻っていく過程で痛みを感じやすくなります。
妊娠中の反り腰が腰痛の原因になることも
妊娠中、大きくなったお腹を支えるために少し後ろに反るような姿勢になる方が多いです。
通常、身体の重心はつま先6割、かかと4割と前側に重心が向いているのですが、妊娠時は逆につま先4割、かかと6割と後側に重心が変わります。
重心が後ろ側になると自然と反った姿勢をキープしてしまい、反り腰になりやすくなるのです。また反り腰を続けることで腰への負担がさらに大きくなり、腰痛に発展することもあります。
産後に赤ちゃんを抱っこする際も腰に大きな負荷がかかるため、「腰が痛い」と感じる機会は多くなるでしょう。
このように産後の女性の身体は、妊娠で筋肉量が低下していることもあり想像以上に弱くなっているため、少しの負担で様々な問題を引き起こす可能性があるのです。
「歩けないくらい腰が痛い」という状況になる前に、旦那様や周りの方に遠慮なく助けてもらいながら産後数か月は安静に過ごすようにしましょう。
産後に骨盤がゆるむ・歪む原因3選
産後に腰が痛くなる原因としては、骨盤のゆるみ・歪みが生じていることが挙げられます。
では、産後に骨盤がゆるんでしまう原因としては、下記の3つがあります。
①リラキシン作用
②産後の過ごし方
③筋力の低下
ここでは、産後に骨盤がゆるむ・歪んでしまう原因を1つずつ紹介します。
産後に骨盤がゆるむ原因|①リラキシン作用
妊娠中は、赤ちゃんが通る道を確保するために「リラキシン」という骨盤をゆるめるホルモンが分泌されます。
一般的に、リラキシンは妊娠から2~3ヵ月後に分泌が始まると言われており、産後およそ1ヶ月くらいは分泌され続けると言われています。
リラキシン分泌中は産道を作るために骨盤がゆるむメリットがある一方、普段と比べて骨格構造が崩れやすくなるリスクがあります。
そのため、妊娠中は担当の先生に相談の上、整体などで骨盤が崩れないように予防し、産後1ヶ月間はできるだけ安静に過ごすことが大切です。
産後に骨盤がゆるむ原因|②産後の過ごし方
本来であれば、少なくとも産後1ヶ月程度はできるだけ横になって過ごすのが良いと言われています。
しかし近年では、共働きの夫婦が増えていたり両親と同居していなかったりするため、産後すぐに家事や育児を始める女性が多いです。
産後の骨盤がゆるんでいる状態で無理に活動すると、骨盤が歪んでしまい酷い腰痛を引き起こしかねません。
本来は夫婦どちらも最低1ヶ月程度は育児休暇を取ることが理想です。難しい場合は両親や友人にサポートしてもらいながらできるだけ安静に過ごすようにしましょう。
産後に骨盤がゆるむ原因|③筋力の低下
妊娠後、出産時期が近づくほどにつれて激しい運動はもちろん、軽いエクササイズなども控えるようになるため、徐々に筋力が落ちていきます。
その結果、骨盤を支える筋力も低下してしまい、骨盤に歪みが生じたり不安定な状態になるのです。
また上述したように、妊娠中は腰の反り具合にも気をつけなければいけません。
お腹が大きくなるとどうしてもバランスを取るために反り腰になりがちですが、反り腰は腰に大きな負担がかかり、腰痛を悪化させる原因になるため姿勢を意識して過ごすことも大切です。
できるだけ筋力を落としたくない方は、担当の先生にやってもよい運動を聞いたうえで無理のない範囲で身体を動かしましょう。ただし、少しでも身体に異変を感じる場合は運動をやめ、先生にその旨を伝えるようにしてください。
産後歩けないくらい骨盤が痛むのはいつまで続く?
個人差はありますが、産後ゆるんだ骨盤が元に戻るには約2か月ほどかかると言われています。
歩けないくらい骨盤が痛む場合も、基本的にはその状態がずっと続くのではなく次第に痛みは引いていきます。
理由としては、産後や授乳時に分泌量が増えるオキシトシンの影響で、骨盤が元の位置に戻る作用が働くからです。
そのため、そこまで痛みが強くない方や一時的に痛むような場合は必ずしも骨盤矯正などを受ける必要はありません。
しかし、歩けないほど痛む場合はできるだけ早く対処する必要があります。まずは産婦人科の先生に状況を相談した上で、近くの整体院や整骨院で身体を診てもらいましょう。
産後の骨盤の痛みに有効なストレッチ
ここからは、産後に歩けないくらいに骨盤が痛い場合でも、寝ながら簡単にできるストレッチをご紹介しましょう。
今回ご紹介したいストレッチは以下の3つです。
①骨盤底筋群を鍛えるストレッチ
②仰向けで骨盤をほぐすストレッチ
③うつ伏せで骨盤調整ストレッチ
産後のストレッチは、一般的に産後1〜2週間ほど経過してから始めるのが理想的ですが、産後の女性の身体は非常にデリケートなので、担当の先生に許可を取り細心の注意を払って行ってください。
不安な方は、整体院などに通って適切な施術を受けることをおすすめします。
それでは、産後の骨盤ストレッチのやり方を解説していきましょう。
産後の骨盤ストレッチ①骨盤底筋群を鍛えるストレッチ
まずご紹介するのは、骨盤底筋群を鍛えるためのストレッチです。
骨盤を支える筋肉の集まりが骨盤底筋群であり、この筋肉を鍛えることで骨盤がしっかり支えられるので、歩けないくらい腰が痛い場合にも症状を和らげることができるでしょう。
1.仰向けに寝て、膝を立てて足を肩幅に開きます。
2.お尻引き締めながら、ゆっくりと腰を持ち上げます。
3.腰を上げた状態を5秒間キープした後、ゆっくりと下ろします。
4.これを5回繰り返します。
産後の骨盤ストレッチ②仰向けで骨盤をほぐすストレッチ
つづきまして、骨盤をほぐすストレッチをご紹介します。
産後の骨盤周りの筋肉は疲労し凝り固まっているため、このストレッチでしっかりとほぐしてあげれば、痛みは軽減されるでしょう。
1.仰向けに寝て、片膝を胸に引き寄せます。
2.この時、反対の脚は伸ばしたままにしておきます。
3.膝を抱え込むようにして、お尻と骨盤の筋肉を伸ばします。
4.10秒間キープした後、脚を入れ替えて同じ動作を行います。
5.これを左右それぞれ3回繰り返します。
産後の骨盤ストレッチ③うつ伏せで骨盤調整ストレッチ
最後に紹介したい、歩けないくらい骨盤が痛い時に有効なストレッチは、骨盤調整ストレッチです。
骨盤の歪みを整えて辛い痛みを緩和してくれるでしょう。
1.うつ伏せに寝て、両手をあごの下で組みます。
2.片方の膝を曲げて体の外側に倒します。
3.膝を外側に倒すことで、骨盤の歪みを整えます。
4.反対の脚でも同じ動作を行い、左右それぞれ10回ずつ行います。
産後の腰痛を解消する対策方法3選
産後の歩けないくらい痛い状態になった腰は、どうすれば解消することができるのでしょうか。
先ほど産後の骨盤ストレッチについてご紹介しましたので、ここからはストレッチ以外の産後の腰痛を解消する対策方法をご紹介していきます。
①日常の過ごし方を気をつける
②骨盤ベルトを使用する
③整体院などで骨盤矯正の施術を受ける
それでは、この3つの対策方法について、詳しくみていきましょう。
産後の腰痛の対策方法①日常の過ごし方を気をつける
まず自分でできる範囲の対策方法としては、「日常の過ごし方を気をつける」ということに尽きます。
家事や育児など、何気ない活動の中でも骨盤や腰に負担をかけてしまっているケースは多いです。
例えば、授乳中の座り方や赤ちゃんの抱き方なども意識してみてください。
あぐらやお姉さん座りなど、床の上に直接座って授乳するのは骨盤や腰に大きな負担がかかってしまうので避けましょう。
授乳の際はできるだけ椅子やソファに座り、可能であれば授乳クッションなどを用いて行うことをおすすめします。
産後の腰痛の対策方法|②骨盤ベルトを使用する
骨盤ベルトは腰回りに巻くタイプのベルトで、主に産後の骨盤の位置を元に戻すサポートや腰の負担を軽減するといった効果があります。
骨盤(恥骨)の痛みを軽減する効果も期待でき、現在骨盤や腰が痛い方にもおすすめです。
骨盤ベルトは仙骨、恥骨結合、大転子を通る部分位置に付けるのが望ましく、お腹の下側になるのが正しい位置です。
仙骨:骨盤の後方中央部にある骨
恥骨結合:骨盤の前方にあり、おへその真下にある骨
大転子:足の付け根にあり、骨盤の中で1番外に出ている骨
しかし、骨盤ベルトは腹横筋の筋力が落ちてしまったり、少し動きづらくなってしまうなどのデメリットもあります。
歩けないくらい骨盤や腰に痛みがある方は使用することをおすすめしますが、そうではない方は無理に使用する必要はありません。
気になるようでしたら、産婦人科の先生に腰の痛みを伝えた上で使用して良いか確認することをおすすめします。
産後の腰痛の対策方法|③整体院などで施術を受ける
産後の腰痛は骨盤のゆるみや歪みが主な原因ですので、整体院や整骨院に通って施術を受けることで痛みが軽減される場合があります。
整体院に相談する際は、単に腰痛があることを伝えるのではなく産後〇ヶ月等の詳細な情報も伝えてみましょう。
骨盤矯正の他にも、肩こりや腰痛など痛みの症状に焦点を当てた施術を行っているところもあります。
産後、骨盤や腰の痛みが酷いという方は、我慢せずに整体院に相談するようにしてください。
しかし、産後は心身ともに弱っている状態のため、産後すぐに骨盤矯正を受けるのはあまりおすすめできません。整体院によっては産後すぐは施術を断られることもあります。
では、産後いつから骨盤矯正をすると成果が出やすいのでしょうか?以下の記事では産後の骨盤矯正ができる時期や成果などについてご紹介してありますので、ぜひ参考にしてください!
産後歩けないほど骨盤・腰が痛い原因は?対策方法や痛みの持続期間|まとめ
産後、歩けないほど腰が痛い場合、骨盤がゆるんでいることが原因として考えられます。
女性の骨盤は、妊娠・出産によってどうしてもゆるんでしまうのですが、産後に悪い姿勢などで過ごしていると歪んだまま固まってしまうため注意が必要です。
できるだけ腰に負荷がかからないように過ごすこと、そしてストレッチなどをすることで腰の痛みを和らげることができるでしょう。
しかし具体的にどうすればいいかわからない、何をやっても痛みがなくならないという方は、整体院に相談することをおすすめします。
整体院であれば、痛みの原因である骨盤のゆるみ・歪みを解消してくれるだけでなく、産後の過ごし方などについても適切なアドバイスをしてくれますよ。
産後の腰の痛みで悩んでいる方は、まず最寄りの整体院を探してみてはいかがでしょうか。